時空超え故郷に戻った若き航空兵の日記 平和記念館で新たな出会いを
若き陸軍航空兵が1941(昭和16)年につづった日記が、福岡県筑前町の大刀洗平和記念館に収蔵されることになった。茨城県で大事に保管され、航空兵の故郷である熊本県荒尾市に帰郷を果たしたのが1年前。「このまま眠らせてはいけない」。手にした人たちの心を動かした日記は、記念館で新たな出会いを待つことになった。
日記の主、田上直亀さんは、41年12月の太平洋戦争の開戦を25歳で迎えた。現在の水戸市にあった陸軍航空通信学校に在籍。新年の決意に始まる日記には、軍人として過ごす日常が記されているが、若者らしい生真面目さや誠実な人柄がにじんでいる。
「忘れてはならない」ブログがつないだ思い
下宿先にいた10歳前後の兄弟にも慕われた。その一人が田上さんの日記を大切に保管、亡くなる前に娘に引き継がれた。約10年前、日記を託された夫の飯村武二さん(64)も田上さんの人柄にほれこんだ。日記を遺族のもとに届けるため、「昭和16年 職業軍人の日記より」と題したブログを立ち上げ、ペン書きの日記を判読しながら日記すべてを書き起こした。
日記には旧陸軍が「東洋一」と誇った大刀洗飛行場(福岡県)が登場。田上さんの実家が近い様子がうかがえたため、飯村さんは大刀洗平和記念館に問い合わせたが、手がかりは何もつかめなかった。
一方、田上さんの故郷では…
- 【視点】
若くして戦争に駆り出され命を落とした人々の思い出が、親やきょうだい、親族へと語り継がれ、生身の人間としての像が浮かんでくると、過去の戦争が急に身近な出来事に感じられるようになる。戦地に残された日記や手紙、写真、万年筆など身の回りの遺品が訴え