飲む中絶薬を「了承」 妊娠9週0日まで対象、厚労省専門家会議
人工妊娠中絶のための飲み薬について、厚生労働省の専門家部会が27日、「薬事承認して差し支えない」と判断し、承認を了承した。社会的な関心も高いことから、今後パブリックコメントを実施し、正式に決める。国内では現在、妊娠初期の中絶方法は手術に限られているが、飲み薬が承認されれば、選択肢が増えることになる。
製品名は「メフィーゴパック」。妊娠を続けるために必要な黄体ホルモンのはたらきを抑える薬「ミフェプリストン」と、子宮を収縮させるはたらきがある薬「ミソプロストール」を組み合わせて使う。対象は妊娠9週までの妊婦。英国の製薬会社ラインファーマが2021年12月に厚労省に承認申請していた。
国内の治験には、妊娠9週までの18~45歳の中絶を希望する女性120人が参加。112人(93・3%)が、24時間以内に中絶に至った。71人(59・2%)は治験中に有害事象(接種後に起こるあらゆる好ましくないできごと)が確認され、このうち45人(37・5%)は薬と因果関係がある副作用とされた。いずれも回復し、9割以上が軽度か中等度だった。下腹部痛(30・0%)や嘔吐(おうと)(20・8%)などだった。
飲む中絶薬は、1988年に世界で初めて承認され、現在は80カ所以上の国・地域で使われている。今回の製品はカナダとオーストラリアで承認されている。日本でも薬の早期の承認を求める声は高まっていた。世界保健機関(WHO)は12年に発表したガイドラインで、妊娠中絶の「安全で効果的」な方法として、吸引法か中絶薬を推奨している。(市野塊、後藤一也)
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