1.6兆円の少子化対策、東京都が公表 予算総額は過去最大8兆円超

笠原真
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 東京都は27日、少子化対策費約1兆6千億円(前年度比2千億円増)を計上した2023年度一般会計当初予算案を発表した。0~18歳への月5千円給付(所得制限なし)などのほか、24年度から都立大授業料の無償化対象を世帯年収910万円未満の学生まで広げる方針も新たに発表した。

 特に、1261億円を投じる「月5千円給付」は自治体としては異例の現金継続給付事業といえ、岸田文雄政権が掲げた「異次元の少子化対策」をめぐる今後の議論にも影響を与える可能性がある。

 都内は、1人の女性が生涯に産む見込みの子どもの数を示す合計特殊出生率(21年)が1・08で全国最低(全国は1・30)。30年をピークに人口減少に転じるとも予測されている。

 都は、少子化の一因とみる経済不安の解消策として現金給付の方針を決めた。給付額は、国や都の調査で出た都内と全国の月額教育費の差額を参考としたという。対象は約200万人。初年度は24年1月に1年分を一括給付する。

 少子化対策を目的とした現金の継続給付は、06年度から続ける東京都千代田区や、23年度に開始方針の兵庫県明石市三重県桑名市の例がある。ただ3市区とも、国の児童手当の対象から外れた高校生年代などに給付するもので、一律に給付する都の事業は突出している。

 ほかに第2子の保育料無償化(事業費110億円)▽私立中授業料の年10万円助成(同40億円、所得制限あり)▽卵子凍結費用への助成(同1億円)――などの独自事業も計上した。

 財源は、企業の好業績などで過去最高を見込む都税収入(6兆2010億円)や既存事業の見直し(1141億円)で捻出する。都財政の「貯金」に当たる財政調整基金は、23年度末時点で残高5991億円を確保する見通し。一般会計当初予算案の総額は過去最大の8兆410億円に上る。(笠原真)

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