フィリピンの「麻薬戦争」捜査再開へ 国際刑事裁「人道への罪」疑い

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バンコク=大部俊哉
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 国際刑事裁判所(ICC=オランダ・ハーグ)は26日、フィリピンドゥテルテ前政権が「麻薬戦争」として進めた麻薬犯罪容疑者の超法規的殺害について、「人道に対する罪」の疑いがあるとして、捜査を再開することを認めた。

 ドゥテルテ前大統領は2016年の就任後、麻薬犯罪の撲滅を掲げ、強硬な取り締まりを主導。警官による容疑者の殺害を事実上容認した。フィリピン政府によると、死者は6千人を超える。国連人権高等弁務官事務所は20年の報告書で、8663人が死亡したと記している。

 ICCの検察局は18年、フィリピン人弁護士の告発を受けて予備調査を開始。21年9月に正式な捜査を承認したが、フィリピン側が「すでに捜査している」などと主張したため、21年末に中断していた。

 AFP通信によると、ICC…

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    越智萌
    (立命館大学国際関係研究科准教授)
    2023年1月27日23時27分 投稿
    【解説】

     ICCは「不処罰の防止」を目指す国際機関であり、「人道に対する犯罪」をはじめとする重大な国際犯罪(中核犯罪)が捜査・訴追されずに放置されないことを主要な目的としています。ただし、国家の刑罰権を優先する「補完性の原則」をとっており、国家が同