47歳でつまずいた会社員人生 「もう1人の自分」で見えた働く意味
会社員として長く働いてきたけれど、居場所がない、仕事にやりがいを感じられない――。中高年になり、組織で働く意味に悩む「こころの定年」を迎えたら、どうすればよいでしょうか。
ベストセラーになった「定年後」などの著書がある人事コンサルタントの楠木新さん(68)は「もう1人の自分」をつくる大切さを強調します。
いつからどんな準備をすればよいのか、人生後半の生き方のヒントを聞きました。
――多くの会社員に話を聞いてきたそうですね。インタビューを重ねて、どんなことが見えてきましたか。
企業や省庁などで働く40代後半から50代をメインに話を聞いてきました。共通して見えてきたことは、40代半ばごろから悩み出す人が多いということです。会社での立場や自分の行く末が大体見えてくる上に、仕事にもマンネリ感が出てきます。
また、日本人の平均寿命が80代にも延びたことで、50代で取り組んでいる今の仕事に意味はあるのかと考えている人もいます。
私はこういう状態を「こころの定年」と呼んでいます。定年の前に、気持ちの中で働く意味を失ったり、迷ったりしているのです。「成長している実感が得られない」▽「誰の役に立っているのか分からない」▽「このまま時間が経っていいのだろうか」――。彼らの発言を最大公約数的にまとめるとだいたいこの三つに集約できました。私自身も同様な悩みを抱えていました。
副業は「第二の本業」という位置づけ
――ご自身も副業をされていたようですね。
新卒で入った生命保険会社で、47歳の時に「うつ状態」になり休職しました。原因は、会社員を続けることに疑問が生まれたからです。
50歳で体調は回復したもの…
- 【視点】
会社員として頑張って仕事をこなしてきたつもりが、ふと振り返ると、自分には何もないのではないかーー。こんな不安にさいなまれること、私もあります。 「学び直し」「リスキリング」。こんな言葉も飛び交い、「他人の芝生」がキラキラして見えてしま
- 【視点】
私も47歳です。不惑をとうに過ぎているのに、日々、戸惑いまくりです。そして、楠木さんがおっしゃる「こころの定年」、ものすごく共感してしまいます。そうだよね、そうだよね、と身につまされる思いで一気に読み進めました。 ただ、こころの定年ま