脱水機が「モヤシ業界の救世主」に ギューッとしぼって廃棄4分の1
阿久沢悦子
1袋30円足らずで、かさマシマシ。
モヤシは、物価高にあえぐ食卓の救世主だ。そのモヤシ業界の救世主と呼ばれる機械がある。
川口精機(静岡市清水区)が開発したスクリュープレス脱水機だ。筒の中のスクリューが回転して、モヤシの残渣(ざんさ)を圧縮しながら水を搾る。
モヤシ生産の過程で生じる廃棄部分の重量を、ギューッと搾って約4分の1に圧縮。薄利多売の業界が持て余していた廃棄物処理のコストを激減させた。
それだけではない。カラカラになった残渣や搾られた水分は、牛や豚の飼料として牧場へ。結果、捨てる部分がなくなった。国連の持続可能な開発目標(SDGs)にマッチした取り組みが評価され、2021年、経済産業省の「はばたく中小企業300社」に選ばれた。
注文に応じて脱水機を製作し、ひたすら搾り続けている。これまでに50種類超の食品を搾った。昨年1年間に搾った食品廃棄物は17万5千トンにのぼる。
新規の販売は年20台を数え、年商5億円の7割がスクリュープレス脱水機だ。
代表取締役社長の大澤宏典さん(46)は「うちの極太の柱です」と話す。
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