YMOのすごさは「技術を捨てたこと」 高橋幸宏さんを悼む

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聞き手・定塚遼
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幸宏さんの音楽を見つめ半世紀 天辰保文さんに聞く

 イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)などで活躍し、11日にこの世を去った高橋幸宏さん。半世紀近く、高橋幸宏さんの音楽を見つめてきた音楽評論家の天辰保文さんは、結成したばかりのYMOを観たときは「なんだろう、これ」と驚いたという。幸宏さんの足跡と音楽観の根幹には何があったのかを読み解いてもらった。

     ◇

 時代の先端を走るかと思えば、道ばたでぽつんとたたずむときもある。洗練された大人のようでいて、心細そうな少年のように見えるときもある。

 最先端のテクノロジーを追いかけたかと思うと、日本古来の情緒豊かな言葉遣いとメロディーを持った歌を作るときもある。「先端を走ろう」という意識よりは、自分が踏んだことのない道を歩きたい。そんな思いが強い人だったと思う。

 「こんな人がいるんだな」。初めて見たとき、そんな印象を受けた。1970年代にサディスティック・ミカ・バンドをやっていた頃です。

 ロックのドラマーと言えば、たいがい筋骨隆々でパワフル。彼みたいなきゃしゃでお洒落(しゃれ)な人はいなかった。

 腕はすごいけれど、演奏自体は、特別なことをやっているわけではない。パワーをこめてたたいたり、技巧を見せつけたりはしない。シンプル、だけどエレガントだった。

 彼が歩いていって、ドラムセットに座る。たたく前の座る所作だけでも、ロックが聴こえてくるようだった。

「なんだろう。これ」 新宿に現れたYMOの衝撃

 ドラマーというとバンドの中…

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