自分を癒やし、そしてケアを考えたい 長島有里枝さん「ケアの学校」

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山本奈朱香
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 東京を拠点に活動するアーティストの長島有里枝さんの展覧会「ケアの学校」が名古屋市内で開かれている。期間中、長島さんは名古屋に滞在。地域の人や訪れる人と対話や交流をしながらケアについて考え、学ぶ場ができつつある。

 会場は、商店街にある文具店だったビルを再生した「港まちポットラックビル」(名古屋市港区)。普段からまちづくりの交流拠点となっている場所だ。長島さんは近くに滞在し、会場の一部を自身のスタジオとして公開している。

 天井が高く広々とした空間には、ぽつりぽつりと作品が置かれている。そのひとつは、長島さんの祖母が、幼かった長島さんに編みかけたセーター。展覧会のインスタグラムには、こんな文章を載せた。

 「(おばあちゃんが)ケア労働を一手に担ってお祖父(じい)ちゃん以上に忙しかっただろうことは、今のわたしならわかります。(中略)女の役目の不平等について一緒に喋(しゃべ)れる年齢になる前に死んでしまった彼女に、自分がどれだけ大事にされていたか、編みかけのセーターたちが教えてくれます」

好きなら、いいんだよ

 長島さんは大学院でフェミニズムを学び、作品でも問題提起してきた。そうすると「長島さんなら分かってくれますよね」と話をしてくれる人が増えたが、すべての人の話を聞くことはできない。ケアする役割を求められることに、しんどさも感じた。

 そこで、今回はまずは自分を癒やせる楽しいことをしようと考えた。編み物、読書会、バレエや歌の練習――。下手でも好きならやればいいんだよ、というメッセージにもなれば、と願う。来場者にも「一緒にやりませんか」と呼びかける。特に母親などの役割を背負っている人は「自分のために使う時間があることが救いになる」。

 長島さんは摂食障害だった学…

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