台湾「首相」に元副総統 蔡政権、来年総統選に向けて支持回復めざす
台北=石田耕一郎
台湾の蔡英文(ツァイインウェン)総統は27日、記者会見を開き、内閣トップの行政院長(首相)に元副総統の陳建仁(チェンチエンレン)氏(71)を据える人事を発表した。来年の総統選に向け、人事の刷新によって3割台に低迷している政権支持率を回復しようとの狙いがあるとみられる。
陳氏は疫学の専門家で、李登輝(リートンホイ)政権時代に行政部門に登用され、蔡政権の1期目(2016~20年)では副総統を務めていた。
台湾では、直接選挙で選ばれた総統が行政院長を任命する。4年間にわたって務めた蘇貞昌(スーチェンチャン)氏が、昨年11月の統一地方選で政権与党が大敗したことを受け、蔡総統に辞意を伝えていた。
蔡氏は会見で、蘇氏を「最も能力の高い行政院長だった」とたたえ、アジア初となった同性婚の法制化や新型コロナ対策などでの理解と協力に謝意を示した。一方で「国際情勢が変化する中、23年は鍵となる1年だ。団結して行政運営ができる人選をした」と陳氏への期待を語った。(台北=石田耕一郎)
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