「昨夏の優勝は忘れる」仙台育英、ライバル東北と22年ぶり同時出場
昨夏の甲子園で東北勢初の全国制覇を果たした仙台育英が、夏春連覇の挑戦権を手にした。
雪が積もった宮城県多賀城市にある室内練習場。出場校が発表される選考委員会の様子を、モニターで見届けていた選手たちは、吉報にも引き締まった表情だった。
主将の山田脩也は「去年の夏の優勝は忘れて、2度目の初優勝を目指す気持ち。一戦必勝で勝ち上がりたい」と意気込んだ。
同じ年の春の選抜大会と夏の選手権を優勝する春夏連覇は、過去7チーム(大阪桐蔭は2回達成)の例がある。
一方、夏春連覇は過去4チームだけ。仙台育英が達成すれば、エースで4番の水野雄仁選手を擁した池田(徳島)以来、40年ぶりとなる。
夏春連覇は年度をまたいで選手が入れ替わるため、より難易度が高い。ただ、仙台育英には昨夏の甲子園でもベンチ入りした選手が8人残っている。
偉業達成に向けて鍵になるのは、聖地のマウンドを経験済みの強力投手陣だ。右腕の高橋煌稀と湯田統真、左腕の仁田陽翔。いずれも最速140キロ台中盤の球威を誇る。
昨秋から背番号1を背負う高橋は、投球の安定感を増すため下半身の強化に取り組んできた。3キロの増量に成功し、「自分の投球でチームを引っ張りたい」と頼もしい。
3人の投手の他にも、捕手の尾形樹人や昨夏から中軸を打つ斎藤陽らも最上級生に。斎藤は「夏春連覇に挑めるのは自分たちだけ。わくわくしている」と目を輝かせる。
もっとも慢心はない。「追われる立場なんて気持ちは全然ない」とは須江航監督(39)だ。
昨秋の東北王者としてのぞんだ神宮大会準決勝、大阪桐蔭に4―5で敗れた。この敗戦で、勝負どころでの攻撃力に差を感じたという。
球数が決まった打撃練習では、ラスト1球で打ち損じをしないよう、集中力を高めて鍛えてきた。
宮城県のライバル、東北との同時出場は22年ぶり。須江監督が高校3年生で、準優勝した時以来となる。「記録員だった当時を思い出す。その成績を超えてもらいたい」と須江監督。
指揮官があと一歩で果たせなかった紫紺の大優勝旗取りに、選手が挑む。(安藤仙一朗)
有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。
【10/25まで】すべての有料記事が読み放題!秋トクキャンペーン実施中!詳しくはこちら