「サインを超える」城東の機動力 半数が塾通い、進学校が挑む選抜

吉田博行
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 第95回記念選抜高校野球大会へ21世紀枠で出場が決まった城東(徳島)は、部員の半数が国公立大へ毎年進学する「文武両道」を掲げる徳島県内屈指の進学校だ。

 そんな伝統の学校だが、野球部の創部は1996年と歴史はまだ浅い。マネジャー1人を含む現在の部員13人のうち半数が塾通いをしながら、1日2時間半ほどの練習に励んできた。

 グラウンドも縦約90メートル、横約70メートルと狭い。ラグビー部やサッカー部などと共有で、野球部の練習スペースは内野ほどの広さしかとれない。部員だけでは紅白戦もできない。

ノーサインで盗塁、サインと異なるプレーも

 そんな制約の中、選手たちは犠打や盗塁の成功数で点を競う「バントゲーム」など、工夫を凝らした練習を積み重ね、持ち味の「機動力野球」を磨き上げてきた。四国大会出場をかけた昨秋の県大会の3位決定戦では、古豪の徳島商に4―5で惜敗したが、5盗塁を絡めて最後まで食い下がった。

 チームのテーマは「サインを超えていけ」。塁に出た選手たちが臨機応変に状況判断し、ノーサインで盗塁を狙い、時には監督のサインと異なるプレーにも果敢に挑む。

 21世紀枠での選抜出場の吉報が届いたこの日のグラウンドで、激励に集まった他の運動部員たちとも喜びを分かちあった。

 捕手の森本凱斗(かいと)主将(2年)は「甲子園で持ち味の機動力を発揮し、強豪に屈せずグラウンドを駆け回る。捕手としては、足の速い走者もどんどん刺していきたい」と意気込んだ。(吉田博行)

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