【そもそも解説】電力大手の不正閲覧、ダメな理由 発送電分離って?
大手の電力会社で、ライバル関係にある新電力のお客さんの情報を不正に見ていた問題が次々と発覚しています。電力自由化のもとで進められてきた「発送電分離」がないがしろになる事態と指摘されています。そもそも発送電分離とはどういう制度で、なぜ必要なのでしょうか。
Q 「発送電分離」は何のこと?
A 関西電力や東北電力など大手電力は、電気をつくる発電、送り届ける送配電、電気をお客さんに売る販売など、あらゆる部門を抱えています。
電気事業法という法律では、送配電部門を他の部門から切り離すことが求められています。沖縄電力以外は、送配電部門を切り離して別会社にし、子会社としています。
発電部門と送配電部門が分かれる点から「発送電分離」という改革です。
Q どうして発送電分離をしたの?
A 電力自由化と呼ばれる国が進めた政策と大きく関係します。かつて電力事業は、東京電力や関西電力など大手10社が地域ごとに独占していました。しかし、それだと競争が働かないため、電気料金が高くなっているのではないかという心配がありました。国は改革を進めて、電気の販売と発電については10社以外でも事業を始めやすくしました。
ただ、送配電については、もともと大手電力がそれぞれの地域の送電線などの設備を持っており、新電力と呼ばれる新規参入した電力販売会社もそれを使っています。
このため、大手の傘下にある送配電会社は電気を送る都合上、新電力の顧客情報も知る立場にあります。大手の販売部門などがその情報を知ってしまうと公平な競争ができなくなってしまうので、送電部門を分離し、連絡を制限しました。
Q どうして販売部門が知ると公平な競争ができなくなるの。
A 自社に有利な営業ができ…