私大医学系は3594万円支給 足立区長に給付型奨学金の狙いを聞く
東京都足立区が新年度からスタートさせる「給付型奨学金」が、保護者や教育関係者らの注目を集めている。私立大学の理系で総額約826万円、私大医学系では約3594万円を支給上限とし、返済は不要だ。全国でも他に例がない規模の給付型奨学金を決めた狙いは何か。近藤弥生区長に聞いた。
――インパクトのある支給額の給付型奨学金を決めた経緯を教えてください。
最初に言いたいのは、急きょ出てきた施策ではないということです。区では「治安」「子どもの学力」「健康寿命の短さ」「貧困の連鎖」の四つをボトルネック的課題と位置づけ、様々な取り組みを進めてきましたが、治安も学力も健康も、貧困の問題と密接に関わっています。子どもの貧困対策に力を入れてきた延長線上にあるのが、給付型奨学金です。
子どもの貧困対策の延長で
――子どもの貧困対策とつながっていると?
小中学校は区立ですが、高校は区立はなく、いままでの区の支援は中学校で途切れていた部分もあります。様々な困難を抱えて高校に進んだ生徒はその後大変な思いをしている、という話も聞きます。大学をきちんと卒業するまで支援をつなげていこうと、給付型奨学金を決めました。
――現行の貸し付け型の奨学金では、不十分なのでしょうか?
貸し付け型の奨学金ですと、大学を卒業したときに平均200万~300万円の借金を背負って社会に出ることになり、負担感や不安感は大きい。一方で大学を目指すときに、理系、とくに医学部は学費も高いので、本当は行きたいけれど諦めざるを得ないというご家庭もある。自分の夢や希望を実現してほしい。返済不要の給付型を提案したのはそういう思いからです。
――それには大きな予算が必要です。
将来のための予算です。とくにコロナ禍以降、どの自治体もそうですが、出生率が急落しています。持続可能性を考えると、いまの子どもたちがしっかり自立できる施策を進めることが、将来の自治体を支える根っこをつくることにつながる。大きな予算ですが、先のことを考えれば必要な経費だと思っています。
財源、人数、所得制限は?
――財源はどうするのでしょうか?
23区の特別区競馬組合が区…
- 【視点】
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