最賃の労働者、一度は信じたアベノミクス 息つく間なく労働深夜まで

有料記事

三浦惇平
【動画】最低賃金で働く労働者「ずっと置いてきぼり」=藤原伸雄撮影
[PR]

 金融緩和財政出動といった「アベノミクス」で、給料が増えるのでは――。10年ほど前、最低賃金で働くある非正規労働者は、そんな期待を抱いた。でも結局、暮らしぶりは上向かない。いま歴史的な物価高に襲われ、家計は厳しさを増している。

 午後11時過ぎ。家族が寝静まった自宅に戻った川邉隆さん(55)は、妻の用意してくれた肉野菜炒めを、一口一口かみしめるように味わっていた。

 妻と両親と4人暮らし。だが帰宅が遅いため、夕食は一人になることも少なくない。食事をとったらすぐに寝て、翌朝は6時に起きてまた仕事に向かう。

 帰宅が深夜になるのは、二つの仕事を掛け持ちしているためだ。

 10年ほど前まで、両親と製本会社を営んでいたが、父親が病気で倒れたのを機に廃業。

 その後は出版取次の下請け会…

この記事は有料記事です。残り864文字有料会員になると続きをお読みいただけます。
今すぐ登録(1カ月間無料)ログインする

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

富はどこへ 異次元緩和10年 5つのなぜ

富はどこへ 異次元緩和10年 5つのなぜ

金融緩和とは結局、何だったのか。分かりやすいイラストや専門記者の解説で探るとともに、私たちの暮らしへの影響を検証します。[もっと見る]