胚盤胞の容器を抱きしめ泣いた 不妊治療、格差感じ「闘いに疲れた」
石田貴子 村井隼人
「5・5組に1組」のカップルが検査や治療を受けたことがあるとされる不妊治療。昨年4月から公的医療保険が適用され、制度が大きく変わった。新たに保険が適用されたことで負担は軽減されたが、当事者の声からは「医療格差」をはじめ、様々な課題が見えてきた。
東北地方に住む女性(41)は、2021年に不妊治療を始めた。毎週のクリニック通いに加え、不妊に効くと言われる鍼(はり)治療にも通った。「通常の金銭感覚では考えられない」費用と膨大な時間を費やし、腕やおなかは注射による内出血の痕だらけ。薬の副作用で吐き気が続き、採卵後は痛みで立っていられなかった。「自分は欠陥商品のようだ」そんな思いもよぎった。
新型コロナウイルスの感染防止のためとして、夫の付き添いも禁止。半年ほど経った頃からパニック症状とうつ症状が激しくなり、メンタルクリニックに駆け込んだ。採卵と体外受精、1回目の移植をしたところで治療を1年休んだ。
昨年、新しいクリニックに転…