不妊治療、経済・仕事を理由に断念 保険適用「早く始まっていたら」
朝日新聞のLINEを使った双方向窓口「#ニュース4U」では、昨春始まった不妊治療の保険適用開始を受け、投稿を募りました。「もう少し早く始まっていたら」「治療は万能ではない」。様々な声が寄せられました。その一部を紹介します。
「治療は万能」、誤った認識広まることないように
26歳で結婚後、自然には授からず、28歳まで不妊治療をした。夫と話し合い、治療費が10万円を超えたらその時また話し合おうということにした。
タイミング法の途中で10万円を超え、もう少し頑張ろうと思ったが体力的にも精神的にも参っていたので人工授精2回目を前に中断。仕事のこともあり子どもは諦めた。私が30代前半の時に保険適用されていれば、違ったかもしれない。
勉強や仕事と違って、どんなに努力しても結果が出ないこともある。不妊の理由は様々で、はっきりした原因がわからないことが多いのに、「治療は万能」というような誤った認識が広まることがないよう、啓発してもらいたい。(41歳女性)
「もう少し早く始まっていたら」
30代後半で結婚。「子どもは欲しいね」と夫婦で話していたが、私が「病院に行こうと思う」と言っても、夫は「授かりものだから」「自然に任せていればなんとかなるんじゃないか」と言うばかりだった。
経済的に許される範囲でタイミング法による治療をしてきたが、一昨年に諦めた。そこから特別養子縁組をしようと動き始めたが、年齢がネックでかなわなかった。
私が仕事をやめると家計の不安があった。もう少し早く助成金や保険適用が始まっていたら、働き方を変えて高度不妊治療をするという選択もあったのでは、という思いがよぎる。(45歳女性)
「貯胚」、保険適用では原則できない
約4年の不妊治療を経て妊娠、出産した。胚(はい)の着床に適した時期を調べる検査と、二つの胚を時間差で2個移植する「二段階移植」をして妊娠できた。「1日でも早く卵をとっておきたい」と医師と相談し、3周期続けて採卵して「貯胚」したのがよかった。
うまくいけば、残っている胚を移植して2人目を産むこともできるかもしれない。私は助成金が出ていた頃に治療していたので貯胚ができたが、保険適用では原則できない。「今は移植が難しいけれど、胚を凍結しておきたい」という人もいるだろう。(39歳女性)
費用も時間も苦痛伴い、鬱に
不妊治療をしていたが費用も時間も苦痛が伴い、鬱(うつ)症状になって治療を1年休んだ。
昨年6月に再開、凍結保存している胚盤胞(はいばんほう)を移植するためにできるだけの検査を済ませようとしたが、混合診療として扱われ、その後の治療はすべて保険適用外となると説明された。行政の担当部局に問い合わせると「自分でクリニックに掛け合って」と言われた。(41歳女性)(石田貴子)
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