不妊治療の保険適用、少子化対策にも効果 「年齢との闘い」には課題
不妊治療が昨春から、健康保険で受けられるようになりました。この間、どんな変化があったのでしょうか。不妊治療専門の「英(はなぶさ)ウィメンズクリニック」(神戸市)理事長で医師の塩谷雅英さんに聞きました。
――昨年4月以降、不妊治療に健康保険が使えるようになりました。
不妊治療の経済的なハードルが下がった患者さんが多いと感じます。治療費を窓口でいったん支払い、後から一定額が公費から補助されるかつての助成金制度も悪くはなかったのですが、健康保険が使えることで多くの患者さんの経済的負担は軽くなりました。
これまでは、上限30万円の助成金をもらうことで金銭負担がほぼない人もいれば、30万円ではまったく収まらない人もいました。保険適用に伴う高額療養費制度を活用すれば、年収によって月ごとの負担額に上限額が設定されます。上限がわかることで安心感が生まれました。
健康保険適用という社会的なインパクトによって、患者さんの意識も変わりました。
今までなら医療者が「体外受精が必要」と判断している方でも、1年、2年と治療を先延ばしにすることがありましたが、治療に踏みきりやすくなりました。
国が「国としてあなたの不妊治療をバックアップします」という姿勢を表したことが、患者さんの気持ちに影響したのだと思います。
――クリニックに変化はありましたか。
当院では、保険適用後の数カ…