第4回職人が驚いた江戸時代の技 そろりそろりと石垣積み…「最後は勘」
杉浦奈実
秋晴れの空から、クレーンのワイヤにつり下げられた石の塊がするすると降りてきた。
2016年の熊本地震で、自慢の石垣や建物の多くが壊れてしまった熊本城。そこでいま進められているのが、城郭の南端にある飯田丸五階櫓(やぐら)の復旧工事だ。
建物をいったん解体し、高さ15メートルの石垣をいちから積み直す作業は、5年がかりで基礎となる下段部分の復旧を終えた。
続いて昨年10月、建物を直接支える上段部分の最初の一石が据えられた。
この工事で積み直す表面の石は約1700石。崩れ落ち、ばらばらになった石たちを、どうやって積み直していくのか。
「違うな」と感じたらやり直し
作業を指揮するのは、中村石…