納豆の街なのに東北に負けた水戸市 首位奪還へ、手出した禁断の施策

藤田大道
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 【茨城】水戸駅前には納豆の像が立っている。土産物売り場には、わらに包まれた納豆がずらり。鉄道が開通した明治時代、土産物として人気を博し、「水戸納豆」は全国区になった。今でも知名度は抜群なのだが、水戸市内の納豆関係者が気をもむランキングがある。

 それは年間の1世帯当たりの納豆購入額だ。都道府県庁所在地と政令指定都市の計52都市を対象とした、総務省家計調査を基にしている。水戸市は2016年を最後に首位から遠ざかっている。近年では20年は6061円で5位、21年は6041円で3位だった。

 水戸市に代わって上位に食い込んだのは東北地方の都市だ。17、19~21年の1位は福島市で、18年の1位は盛岡市山形市は20、21年に2位だったほか、仙台市も上位の常連だ。ちなみに、21年は前橋市が6位、宇都宮市が10位で、他の北関東勢も上位をうかがう。

 なぜ東北が強力なライバルとなっているのか。

 水戸市の納豆関係者の間でささやかれるのは、納豆の食べ方の豊富さだ。

 20年に水戸商工会議所が市民約300人に実施したアンケートでは、7割近い人が、納豆はご飯にかけて食べると回答した。一方、東北では、冬場の保存食として親しまれてきたため、食べ飽きないように、納豆汁や納豆ラーメンなど、さまざまな食べ方を編み出してきたのだという。

 危機感を抱いた水戸商工会議所は18~21年に毎年、納豆を使ったレシピを募集するコンテストを開いた。これまでに、たくあんやマグロのたたき身に納豆をまぜたユッケ、明太クリームと納豆を混ぜたソースのパスタなどが寄せられた。

 20年にはついに、デザートにも進出。「禁断の納豆スイーツコンテスト」と題して実施すると、たい焼きが入賞した。中には、あんこと納豆が詰まっていた。

 22年6月には水戸市議会が納豆の消費拡大に関する条例を制定した。納豆の消費を増やすことで、市内の産業を活性化しながら市民の健康増進につなげることを目的とする。語呂合わせで「なっとう」と読める7月10日を市の「納豆の日」と定めることも記した。

 ここまで力を入れて、購入額のトップを奪還しなければならないのだろうか。

 納豆メーカーでつくる県納豆商工業協同組合の水戸支部長で、だるま食品(水戸市)代表の高野友晴さん(50)は「1位じゃなくても納豆の街の地位は揺るがないと思いますが、街のピースが一つ足りていない感じがしますよね」。

 市内にある納豆メーカーの主力商品は、お土産用や贈答用のわらに包まれた納豆が中心だ。高野さんは新型コロナウイルス禍の影響を受けた後の観光需要が気になるとしつつも、「日本一納豆を食べる街に戻れば、納豆の街全体としてさらに盛り上がっていくはずです」と期待を寄せる。

 22年の納豆購入額は、2月上旬に公表される予定だ。納豆関係者は、この言葉を心に秘めて、結果を待っている。

 ネバーギブアップ!(藤田大道)

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