最新技術も活用、熊本城の石垣復旧が本格化 それでも完成は30年後
2016年の熊本地震で大きな被害を受けた熊本城で、最新技術も活用しながら復旧作業が進められている。これまでの進捗(しんちょく)は約21%。ほぼ当初の計画通りにきたが、熊本市の大西一史市長が昨年11月、熊本城の完全復旧は想定より15年遅れ、2052年度になるとの見通しを明らかにするなど、復旧に向けた道のりは容易ではない。
工事完了を遅らせる大きな要因が、崩れた石垣にかかわる作業だ。地震により、約1千面あった石垣のおよそ半分、517面に被害が及んだ。復旧に向けた作業を進めたところ、当初の想定より測量や設計に時間がかかることがわかってきたためという。
現在は、震災直後に一列の石垣で建物を支えた「奇跡の一本石垣」があった飯田丸五階櫓(やぐら)の石垣(高さ約15メートル)について、上段部分を積み直す作業が進む。次に大きな地震がきても崩れないよう、伝統に沿った復元と、最新技術による安全対策を組み合わせているのが特徴だ。
積み直す石の数は飯田丸五階櫓の上段部分だけで約1700石。上段部分の積み直しの完了は24年2月を見込む。この照合には、熊本大学の研究者が開発した最新の画像処理技術も活用された。
熊本城は、戦国時代の名将、加藤清正によって築かれた城で、慶長12(1607)年に完成した。周囲約5キロ、広さは約100ヘクタール(東京ドーム約20個分)に及ぶ。反り立つような石垣が特徴で、高い防御力を誇るとされる。
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