最北端から出場ならず、稚内大谷 代表にはクラーク国際が選抜

石垣明真 三木一哉
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 第95回選抜高校野球大会(3月18日開幕、阪神甲子園球場)の出場校が27日発表になり、北海道代表には昨秋の全道大会を制したクラーク国際が選ばれ、2年連続2度目の出場を決めた。21世紀枠の候補になっていた稚内大谷は選ばれず、名寄地区から初めてとなる最北端からの甲子園出場の夢はかなわなかった。組み合わせ抽選会は3月10日におこなわれる。

 クラーク国際の部員たちは深川市の同校体育館で、出場校を発表するライブ配信を見守った。学校名が呼ばれ、選出の理由を聞き終わると、力強い拍手で喜びを表現した。

 2年連続出場の原動力になったのはエースの新岡歩輝主将(2年)だ。昨秋の全道大会は全4試合を1人で投げきり、わずか4失点。投げ方やテンポを変えつつ、緩急を織り交ぜ相手に的を絞らせなかった。

 だが、その後の明治神宮大会では大阪桐蔭には2―12で完敗。その試合の動画を見直し、中学時代の恩師にも助言をもらった。改造に取り組んだのが投球フォームと直球の質だ。もともと横手投げに近い投げ方だったが、腕をさらに横から繰り出すようにし、打者に球の出どころを見づらくした。体重を4キロ増やし、直球の伸びが出て、「内角の直球を自信を持って投げられるようになった」。

 佐々木啓司監督が昨秋から課題だと語る打力の強化も順調のようだ。冬にはしばしば零下10度を下回る深川市。室内練習場も冷え込み、1日3~4時間の打撃練習ではバットの芯を外すと手が痛むが、「それでミートへの意識が増した」と中村光琉選手(2年)。

 2014年の創部以来、春夏通じ初めての甲子園での勝利を目指す。新岡主将は「去年の経験もある。あとは自信を持ってやるだけ」と力を込めた。(石垣明真)

 稚内大谷は21世紀枠で補欠校となった。同校は道内最北の名寄(なよろ)地区に属する。同地区からは道内で唯一、春夏通じて甲子園出場校が出ていない。同校の出場は地区の悲願でもあったが、あと一歩届かなかった。

 野球部員たちは稚内市内の同校で選考結果を待った。本間敬三監督(38)は「候補になって1カ月間、どういう結果でも受け止めようと言ってきた。これで選択肢は1本、夏に自力で行くしかない。もっといいチームにしていこう」。高橋大空主将(2年)は「センバツ出場もありうる、と冬休みに密度の濃い練習を重ねた。北北海道大会で戦える、強いチームを作ります」と意気込んだ。

 同校は1980、81、93年と3度、夏の北北海道大会決勝に進み、いずれもサヨナラ負けを喫した。2002年には21世紀枠候補になった。

 前校長の山下優さん(73)は93年の決勝に挑んだ時の監督。「宗谷の野球少年が甲子園の土を踏むというのが人生の大きな夢。選手としても指導者としても、私はかなえることができなかった。今回は期待していたが、技術面でまだだったのかな」(三木一哉)

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