瞳の奥に「底知れない闇」 パゴダ建立に行き着いた尼僧の出会い

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三宅梨紗子
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 仏教徒が約9割を占めるミャンマーでは、仏塔(パゴダ)は心のよりどころだ。名古屋市には8年前に建てられた日本国内では新しいパゴダがある。建立に奔走したのは日蓮宗の尼僧の馬島浄圭さん(69)。30年ほど前、現地で出会った人々の瞳の奥に「底知れない闇」を感じた。それがパゴダ誕生の原点だった。

 名古屋市中川区の住宅街の一角に白亜の建物がそびえる。高さ約7メートル。丸みを帯びた頂上部分と所々に施された黄金色の装飾が荘厳さを漂わせる。

 パゴダはミャンマー式寺院。神聖な場であり、日々、祈りを捧げる身近な存在だ。新年の初詣に始まり、誕生日に訪れたり、祭りが開かれたりする。

 日本では北九州市や徳島市などにある。多くは太平洋戦争終結後まもなく、激戦地となったミャンマーなどでの戦没者を弔う施設として造られた。

 一方で名古屋市のパゴダは2015年にできた。建設の中心となった馬島さんが住職を務める妙本寺関係者の土地に建てられた。

 馬島さんがミャンマーに関心をもつきっかけは、1990年にタイ南部で開かれた仏教者の会議だ。

 88年の大規模な民主化運動で国軍の弾圧から逃れた僧侶や医師らに出会った。

 僧侶はやせ細り、じっと座っていた。国軍は僧侶らにも容赦なく銃口を向けた。逮捕、投獄される人が後を絶たなかった。

アウンサンスーチー氏から託されたメッセージ

 軍事独裁下、命からがら逃れ…

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