苦しんだ1年、日テレ東京ヴが返り咲き16度目V サッカー皇后杯
サッカーの皇后杯全日本女子選手権(朝日新聞社など後援)最終日は28日、大阪・ヨドコウ桜スタジアムで決勝があり、いずれもWEリーグに所属する日テレ東京ヴェルディベレーザがINAC神戸レオネッサを4―0で破った。2大会ぶり16度目の優勝となり、大会の最多優勝回数を更新した。INAC神戸は7度目の頂点に届かなかった。
日テレ東京ヴは前半39分、FW植木理子のシュートで先制、後半4分にも植木がゴールを決め、流れをつかんだ。
「サッカー人生の中で一番、うれしいかも」
2得点を挙げた日テレ東京ヴのエース、FW植木理子は涙を流して喜んだ。
23歳は「もしかしたら、サッカー人生の中で一番、うれしいかもしれない」とまで言った。
昨季、創設初年度のWEリーグを制したINAC神戸との頂上決戦。際立ったのは強力な3トップだった。
全員が日本代表経験を持ち、植木を中心に19歳の藤野あおば、25歳の小林里歌子が次々と縦に仕掛ける。「3人でゴールを脅かし続ける、と意識していた」と植木。3人全員が得点を決め、計4ゴール。圧倒した。
昨季は苦しんだ。
運営会社の経営問題やプロ化を前にした移籍の活発化により主力が次々と抜けた。若手主体に切り替えたが、リーグでは優勝争いにすらからめず、3位に終わった。
皇后杯で最多15度の優勝を誇るなど女子サッカー界を牽引(けんいん)してきた強豪のはずが、1年間、無冠に終わった。植木は「勝てない時期が続いて、本当に苦しかった」。
「ベレーザという名前だけでは勝てない」(竹本一彦監督)と今季はリーグ開幕前に米国に遠征した。
持ち味のパスをつなぐ攻撃に加え、3トップを生かした縦に速いサッカーに磨きをかけた。
若手が経験を積み、36歳のベテランDF岩清水梓が出産を経て復帰した。チーム力はあがった。
「チームの長い歴史のなかではたったの1勝かもしれないけど、やっと一歩、踏み出せた」と植木。
メンバー18人の平均年齢が23歳と若いチームが大きな自信を得た。(照屋健)
「足りないことだらけ」
INAC神戸は後半開始直後の失点が痛かった。リードを2点に広げられると、パスミスが目立ち、攻め込まれる時間帯が増えた。朴康造監督は「精度が下がったのは悔いが残る」。主将のDF三宅史織は「足りないことだらけだなと痛感した。次につなげられるかは、自分たち次第」と言った。皇后杯は逃したが、2連覇を狙うWEリーグでは6勝無敗1分けで首位を走る。3月のリーグ戦再開に向け、落ち込んでいる時間はない。
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