長野の雪崩事故、心肺停止の2人を発見 山岳救助隊、朝から捜索

【動画】雪崩で行方不明者の捜索開始=福留庸友撮影
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 スキーなどでゲレンデ外を滑走するために長野県小谷(おたり)村を訪れていた外国人らが雪崩に巻き込まれた事故で、捜索に当たっていた長野県警の山岳遭難救助隊が30日午前、現場付近で心肺停止になった男性2人を発見した。雪崩には5人が巻き込まれ、そのうち2人の男性が意識不明のまま現場に残されていた。県警は2人の身元や、雪崩が発生した原因を調べている。

 県警などによると、雪崩が起きたのは小谷村の白馬乗鞍岳にある天狗原の東側斜面(標高約2100メートル)で、栂池(つがいけ)高原スキー場のゲレンデから白馬乗鞍岳の山頂をめざす方向にある。3グループの外国人計13人が、ゲレンデ外の未整備の斜面である「バックカントリー」をスキーなどで滑走するために訪れていた。

 29日午後2時半ごろ、2グループの計5人が雪崩に巻き込まれるのを別のグループ8人が目撃し、観光関係者を通じて警察や消防に通報したという。県警によると、5人は現場を何回か往復するように滑っていた。斜面を登ったり滑ったりしている中で雪崩が起きた可能性があるという。

 雪崩に巻き込まれた5人は別のグループによって助け出されたが、米国とオーストリア出身と見られる2人の男性が意識不明の状態で現場に残されていた。ほかの3人はゲレンデまで自力で下山したが、このうちオーストリアの20代の男性が肩の痛みを訴え、近くの病院に運ばれた。

 事故から一夜明けた30日午前7時15分ごろ、県警の機動隊員や山岳遭難救助隊員らからなる計12人が雪崩の現場へ捜索に向かった。ゴンドラリフトを使ってスキー場の標高約1500メートル付近まで登り、そこから徒歩で現地に向かい、同10時半過ぎに立て続けに2人を発見したという。

 ゴンドラから降りたゲレンデではこの日、粉雪が舞う中、早朝から訪れたスキー客らが次々と斜面を滑り降りていた。ゲレンデとは反対側の山側には、周辺の峰を示した上で「登山・滑走は雪崩を誘発し、スキー場内に多大な影響を及ぼしますので禁止です」などと書かれた看板が立っていた。

 大阪府から来た40代女性は20年前から栂池高原スキー場を利用してきた。バックカントリーの経験はないというが、「冬の山を安全に楽しむための方法はたぶん関わる人全員が考えなきゃいけないと改めて感じた」と話した。

 捜索への出発前、県警の岸本俊朗・山岳遭難救助隊長は取材に「(雪崩が発生した)昨日は、前日の降雪により雪崩の危険性が高かったと思う」と指摘。「現場は雪の斜面で、積雪状態の見極めや雪崩のリスクの判断が難しいところ。我々も雪崩に十分に気をつけて捜索にあたる」と話した。

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