抑圧やまないミャンマー データと出来事で見るクーデターから2年
2021年にミャンマーで国軍がクーデターを実行してから、2月1日で2年になる。クーデターが起きた背景や、国軍による権力掌握で起きた被害について、データを交えながら振り返る。
クーデター前夜(~2020年)
2020年11月 クーデターが起こる約3カ月前、5年に1度の総選挙。アウンサンスーチー氏が率いる与党・国民民主連盟(NLD)が、改選議席の8割を超える議席を獲得し圧勝。国軍は結果を受け入れない姿勢を見せ、有権者が重複して登録されるなどの不正があったと主張した
クーデター発生
2021年2月1日 国軍がクーデターを決行し、スーチー氏らNLD幹部が拘束された。非常事態宣言が出され、国軍トップのミンアウンフライン最高司令官が全権を掌握
2月初旬 市民らの「不服従運動」や大規模な抗議デモが始まる
3月 国軍の弾圧が激化。最大都市ヤンゴンの一部に戒厳令。現地メディア複数社の免許が剝奪(はくだつ)される
4月 東南アジア諸国連合(ASEAN)と国軍が「暴力の停止」など5項目で合意。その後も国軍は合意項目を履行せず
5月 国軍に反発する民主派が独自の部隊「国民防衛隊」を設立。武装闘争が本格化する
同年4月に拘束された日本人フリージャーナリストの北角裕樹氏が解放される
6月 サッカーワールドカップアジア2次予選のため来日していたミャンマー代表のピエリアンアウン選手が難民申請
8月 ミンアウンフライン国軍最高司令官が暫定首相に。23年8月までの総選挙実施を表明
止まらぬ混乱と抑圧
2022年2月 クーデターから1年。ミャンマーの人権団体「政治犯支援協会」によると、この日時点で1507人が国軍側の暴力によって死亡し、1万1902人が軍事政権によって逮捕された
4月 国軍統制下のミャンマー中央銀行が外貨を強制的に両替する制度を導入。経済が混乱
7月 スーチー氏の元側近ら市民4人に死刑執行
8月 元駐ミャンマー英国大使のビッキー・ボウマン氏が拘束される
国軍による少数派イスラム教徒ロヒンギャ掃討作戦から5年。難民となったロヒンギャはクーデター後に帰還がさらに困難に
9月 ミンアウンフライン氏がロシアのプーチン大統領と面会。ロシアとの関係強化進む
10月 国軍が北部カチン州の少数民族武装勢力の支配地域を空爆し、約60人が死亡
11月 7月から拘束されていた映像作家の久保田徹氏がボウマン氏らと共に解放される
12月 戦闘激化で国内避難民が150万人を突破。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が発表
スーチー氏の刑期が計33年に。訴追された全19件の裁判で有罪判決
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