文明はやがて土に還るのか 左官職人が倉庫で巨大インスタレーション

西田理人
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 土と火による造形が陶芸だとすれば、左官職人・挾土(はさど)秀平(1962年生まれ)の表現は、土と水と光の芸術と言えるだろうか。東京・天王洲寺田倉庫で、文明の行く先を予言するかのようなインスタレーションに取り組んでいる。

「挾土秀平 『土に降る』」展は、東京・天王洲の寺田倉庫で2月14日まで。入場無料。

 約500平方メートルのがらんとしたコンクリートの空間に、土と枯れ葉が敷き詰められている。コンクリートの柱は木に見立てられ、まるで樹林に迷い込んだかのような世界が広がる。NHK大河ドラマ「真田丸」の題字などで知られる職人が今回、初めて空間全体の作品化に挑んだ。

 壁や建具のように並べられたレリーフ状の作品は、青や緑を含む色とりどりの土を水で練り、パネルに盛った後に乾燥させて固めた。ひび割れたテンペラ画のように、あるいは焼き締めた土器や切り立った岩壁のように。多彩な表情が土の表現の幅広さを物語る。

 一方、がれきと廃品を敷き詰めた部屋に置かれているのは、荒廃した東京を描いた作品。傍らに置かれた砂時計はもう時を刻むことはできない。「想像もしなかったような終わりに、一秒一秒近づいているのか」。作家はそう予言する。

 2月14日まで。入場無料。(西田理人)

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