日本のPFAS汚染調査「ほとんど手つかず」 識者が懸念する影響は

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聞き手・森治文
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 米軍基地や工場周辺など各地で検出が続く有機フッ素化合物(総称PFAS(ピーファス))について、国が対策強化に乗り出す。PFASはどんな性質の物質で、人にどんな影響があるのか。PFASの動きなどを長年調査し、市民団体の委託で東京・多摩や沖縄で住民の血中濃度の測定をしている京都大学医学研究科の原田浩二准教授(環境衛生学)に聞いた。

 PFASは人工的に作られた有機フッ素化合物の総称で、全ての物質が有毒とは限らない。水や油をはじいたり熱に強かったりする性質を生かし、調理器具のフッ素樹脂加工や衣服などの撥水(はっすい)剤、泡消火剤、化粧品や半導体の製造などに使われてきた。

 1990年代になり、PFASの中でも「ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)」と「ペルフルオロオクタン酸(PFOA)」が自然界に長く残留し、環境汚染などの問題を起こすと認識され始めた。

 この2物質を開発した米大手化学メーカーの3M社は、2002年までに自主的に生産をやめることを決めた。他のメーカーが追随し、化学物質の取り扱いに関する国際条約で規制が強まり、今では日本でも製造や輸入が禁止された。

 しかし、分解されにくく体内にも蓄積されやすいことから、健康への影響は今後も決して無視できない。PFOS、PFOAだけでなく、最近は2物質に加えペルフルオロヘキサンスルホン酸(PFHxS)とペルフルオロノナン酸(PFNA)も懸念され始めた。

 汚染源から体内にまではどの…

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    せやろがいおじさん
    (お笑い芸人・YouTuber)
    2023年1月31日15時49分 投稿
    【視点】

    台湾有事の脅威が叫ばれ、軍拡が進んでいます。必要な備えをすることに異論はありませんが、基地などの軍事施設があることによって起こるリスクにはできる限りの対処を見せてほしいと感じます。国民を本当に守ろうという気持ちがあるのであれば、PFOSなど