安倍政権前夜、2%目標へ急旋回した日銀 議事録が示すせめぎ合い

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徳島慎也
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 日本銀行は31日、2012年7~12月に開いた金融政策決定会合の議事録を公開した。経済政策アベノミクス」を掲げた安倍晋三総裁(当時)の下で、自民党が政権奪還を決めた衆院選直後の12月の会合で、安倍氏が求めた2%の物価目標(インフレ目標)の導入に向け、議論が一気に加速した。ただ、物価目標に慎重だった日銀の白川方明(まさあき)総裁(当時)は導入に慎重な姿勢を崩さず、「中央銀行への信認が低下する」ことを危ぶんだ。

 当時、日銀は「1%」を事実上の物価目標としていた。だが、自民党は目標も、金融緩和も不十分だとして、日銀への批判を強めていた。12年12月16日にあった衆院選で自民党は、物価上昇2%の目標達成に向け、大胆な金融緩和を行うことを公約に掲げた。

 選挙での大勝を受け、安倍氏は2日後の18日、白川氏と東京・永田町の自民党本部で面談し、白川氏に2%目標に向けた政策協定を結ぶ検討をするよう要請。それまで「財政や経済に悪影響を及ぼす」と高い目標の設定に消極的だった白川氏に翻意を促した。

白川総裁「中央銀行の信認低下」を危惧

 その翌日の19日と20日に…

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