こっそり畑に入り込み、熟したメロンをかじる。夜中に民家に忍び込み、台所のゴミをあさる。日本各地の平地にイタチ類が現れ、人々を困らせている。
イタチ類の生息エリアが広がり、被害が増えているのは、なぜなのか。それは「在来種のニホンイタチよりも大柄な、外来種のシベリアイタチが増えているからだ」との見方を、福井県の高校生たちが自治体や博物館と協力した調査で裏付けた。
さらに調査の過程では、これまで存在が知られていなかった「幻の個体」も発見。「定説を覆す発見」と注目されている。
調査したのは、福井市の県立藤島高校の生物部。2年生の高崎悠衣さん(17)や吉田悠人さん(17)、部顧問の橋本由香里教諭(46)らが中心に調べた。福井は北上するシベリアイタチ(旧和名チョウセンイタチ、長崎県対馬市以外では外来種)の最前線になっている。
調査に先立ち、イタチの異変に気づいたのは福井県鯖江市の職員だった。「これまでのイタチより一回り大きい。しかも甘い物が好きらしい」。鯖江市では2017年ごろから被害が増え、年500件ほどある市民相談のうち2割をイタチが占めるようになっていた。
鯖江市は駆除したり道でひかれたりしたイタチを調べ、生き物に詳しい福井市自然史博物館の元学芸員らに相談。話を聞いた生物部も調査に乗り出した。
まず生物部は、博物館が冷凍…