老人ホームで殺されたヘルパーの母 「介護現場の安全を」遺族が提訴

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山本逸生 甲斐江里子
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 大阪市平野区の老人ホームで2021年11月、1人で当直勤務中だった女性職員(当時68)が入居者の男(同72)に殺されたのは、施設内の安全対策が不十分だったからだとして、女性の長女(37)らが2日、施設の運営会社に約3950万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴した。長女は「介護現場で働く職員の安全確保に目が向くきっかけになれば」と話す。

 女性は、介護ヘルパーの榊(さかき)真希子さん。大阪府警によると、21年11月16日夜、平野区長吉川辺3丁目の住宅型有料老人ホーム1階の事務室で当直勤務中、入居者の男に金づちで複数回殴られて死亡した。府警は、その後に7階の自室から飛び降りたとみられる男を殺人容疑で書類送検し、容疑者死亡で不起訴となった。

 訴状によると、男は事件3日前に別の入居者を殴ったり蹴ったりして負傷させたほか、その10日前にも椅子を蹴り飛ばして他の職員にぶつけていたという。長女らは、運営会社は男の危険性を強く認識していたと主張。内鍵のない事務所に防犯ベルを設けず、夜勤職員の増員もなかったなどとして、安全を確保する義務に違反したと訴えている。

 大阪市内の運営会社は朝日新聞の取材に、「事件については代理人弁護士に任せており、訴訟について会社としてコメントはできない」と回答した。

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