オホーツク海沿岸の最大クラスの津波想定 9m超が漁業のまちを襲う

角拓哉 神村正史 奈良山雅俊
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 北海道のオホーツク海沿岸を襲う可能性がある最大クラスの津波について、道は1日、沿岸の13市町村の浸水想定を明らかにした。最大津波高は雄武町など3町で9メートルを超えた。今後、道防災会議の了承を得て正式発表する。

 対象は斜里町から稚内市までの13市町村。想定した地震は、①網走沖=マグニチュード(M)7・5②紋別沖=M7・6③日本海=M7・9④千島海溝=M9・3。これらの地震による最大クラスの津波について、各市町村の最大津波高▽津波影響開始時間・到達時間▽浸水面積を推計した。

 津波が最も高かったのは雄武町の10メートル。興部町(9・3メートル)、枝幸町(9・2メートル)が続いた。市部では紋別市(7・9メートル)、稚内市(7・6メートル)などだった。

 地震発生後に水位が20センチ変化する津波影響開始時間は、稚内市の3分が最も早く、第1波と最大津波の到達時間は同時の23分。最大10メートルの津波が襲うと予想された雄武町では、最大津波到達時間は32分だった。

 浸水想定面積が最大だったのは猿払村の697ヘクタール。続いて紋別市(594ヘクタール)、枝幸町(590ヘクタール)などだった。

 道によると、オホーツク海沿岸は地震活動が少なく、1919(大正8)年から2022年の間、津波を伴うM7以上の地震は起きていないとされる。56(昭和31)年に網走沖でM6・3程度の地震が起きたが、津波は小規模だったという。

 津波浸水想定のワーキンググループ座長で、北海道大学大学院理学研究院の谷岡勇市郎教授は「オホーツク海側は津波の痕跡が見つかりづらく、想定することが科学的に難しいエリア。どの災害にも言えることだが、想定した数字を超えることもありうる。住民は気象庁が出す情報をもとに適切に避難行動してほしい」と話す。

 津波浸水想定の策定は、2011年の東日本大震災後に施行された津波防災地域づくり法で義務づけられた。北海道はこれまで日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震や、日本海側の巨大地震の想定を公表している。(角拓哉)

 オホーツク海沿岸は漁業が盛んで、海の近くに生活の場がある。

 人口約2万人の紋別市は、海岸と標高334メートルの紋別山(通称・大山)に挟まれた傾斜地に市街が広がる。市は13年に津波ハザードマップを作り、17年には津波避難計画を策定。ただ、これらは10年度に道が示した津波想定に基づく。今回の想定では最大津波高は低くなったものの、浸水域が若干広がった。このため、市はハザードマップを作り直す方針だ。

 担当者は「新たに浸水域とされた地域には指定避難所がないことは確認した。今後、老人ホームなどの配慮施設がないか調べる」と話す。

 人口約3万3千人の網走市は、サケやカニ漁などが盛んな全国有数の水産のまち。多くの漁業者や水産加工業者が海辺で暮らす。

 10年度の道の想定をもとにした津波ハザードマップでは、津波は網走川をさかのぼり約5キロ離れた網走湖にまで到達すると想定。市は川沿いの地域のビル4棟を津波避難ビルに指定している。「10年度の想定と大きな違いはないと考えているが、ハザードマップの更新を検討する」と担当者。

 道内屈指の毛ガニの漁獲量を誇る枝幸町は、南北58キロの海岸線に枝幸港など計8漁港があり、どこも周辺には人家が張り付く。最大クラスの津波が押し寄せると、漁港周辺は津波にのみ込まれる。

 町の神尾尚人・総務課長は「太平洋沿岸などと違ってオホーツク地域は津波への意識が高くはない」としつつ、「今回の想定を参考にして、避難計画などに役立てたい」と話す。(神村正史、奈良山雅俊)

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