片岡仁左衛門、一世一代の「霊験亀山鉾」 陰と陽の「悪」演じ分け

有料記事

増田愛子
[PR]

 主人公・藤田水右衛門の冷血ぶりと、生と死をない交ぜに描く鶴屋南北らしい趣向が光る「霊験亀山鉾(れいげんかめやまほこ)」が2月、東京・歌舞伎座で上演される。浪人・水右衛門と、その一味で、うり二つの町人・八郎兵衛。対照的な二役を約20年にわたり演じてきた片岡仁左衛門が、一世一代で勤める。

 「とにかく、『前はもっと良かった』と言われるのが、嫌なものですから。これを最後にさせて頂いたんです」。これまでに「女殺油地獄」の河内屋与兵衛、「絵本合法衢(えほんがっぽうがつじ)」の左枝大学之助・立場の太平次といった、当たり役を演じ納めてきた。「演じ終わって、自分の中で反芻(はんすう)すると、お役に対する未練が出てくる。でも、そこで演じてしまうとだめだと思うのね」

 初めて手がけたのは2002年、国立劇場の通し上演。八郎兵衛と、彼が一方的に思いを寄せる芸者おつまを巡る場面は、長く上演されてこなかっただけに、芝居作りも工夫した。

 「(同じ)悪としても、水右…

この記事は有料記事です。残り605文字有料会員になると続きをお読みいただけます。
今すぐ登録(1カ月間無料)ログインする

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません