国会は1日、3日間にわたる衆院予算委員会の基本的質疑が終わり、与野党の質疑が一巡した。防衛力の拡充や少子化対策などをめぐり、岸田文雄首相の答弁は政府の決定事項の繰り返しが目立った。「国会論戦を通じて国民への説明を徹底する」と宣言した首相だが、論戦が深まったとは言いがたい。
一問一答式の基本的質疑で浮かび上がった首相の答弁姿勢は、3点に集約できる。
①政府の決定事項を説明
②具体的な内容は「未定」などと踏み込まない
③不祥事や政治姿勢については従来答弁を繰り返す
失点を避けようと踏み込んだ説明をしない姿勢が際立っている。
1月30日の衆院予算委。今後5年間で43兆円を確保するとした防衛力の抜本的強化をめぐり、立憲民主党の岡田克也幹事長から「43兆円ありき」などと指摘された首相は、1月の施政方針演説とほぼ同じ内容で反論した。
「1年以上にわたって議論を…
- 【視点】
やっていることはかなり大胆。説明の場に臨むことを避けるわけでもない。それでも言っていることは「?」。岸田首相の言動に感じる隔靴搔痒は、私が政治記者として見てきたこの四半世紀近くの首相で初めてです。 就任早々の去年と違い、異論反論を生む大