政府は「持続可能な航空燃料(SAF(サフ))」の安定調達のため、シンガポールや米国などと連携し、航空会社への支援に乗り出す。国主導の共同調達や製造会社などへの資金支援を想定する。両国との枠組み作りに向けた協議を進めており、今後2~3年をめどに実現をめざす。二酸化炭素(CO2)排出の国際的な規制が強化され、世界でSAFの争奪戦が激しさを増している。
国際民間航空機関(ICAO)が昨年10月、国際線のCO2排出量を2050年に実質ゼロとすることを決め、先進国の航空会社は24年から19年比15%の削減が義務化される。SAFの需要が高まるため、国土交通省はシンガポールや米国などの国際線に就航する航空会社への支援を検討している。
想定するのは、国が主導する共同調達だ。各国の航空会社が参加する枠組みをつくり、製造会社と大口契約を結ぶ。1社で契約するより調達費を抑えられ、安定調達にもつなげたい考えだ。さらに各国のSAF製造会社や航空会社が加わる共同事業体をつくり、そこに資金支援することも検討している。
国交省は昨年12月、シンガ…
- 【視点】
コロナ禍で改めて明らかになったことの一つは、人と人と会うことで進むことがある、ということです。「飛び恥」といってCO2排出の多い航空機に乗ることを批判する向きもありますが、移動にとって航空機は今後も必要だと思います。だとすれば、航空機を利
- 【解説】
「飛び恥」。ヨーロッパなどで、二酸化炭素を多く排出する航空機を使うことは恥として、鉄道の利用を呼びかける言葉があるようですが、航空機燃料をめぐる国際的な流れに、いよいよ日本政府も腰を上げました。エコ燃料として注目されているのが「SAF」。今