不正閲覧、「驚き、愕然とした」 不祥事続く関電、社長が語ったこと

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吉田貴司 諏訪和仁
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 「驚き、愕然とした」。ライバルにあたる新電力の顧客情報を社員たちが不正に閲覧していた問題で、関西電力の森望社長は、報告を受けたときの気持ちをそう表現した。相次ぐ不祥事を受けて、社内の改革を進める中で明るみに出た新たな不正を、どう受け止めているのか。1月31日に関電が開いた会見で、森社長が語ったこととは。

 【森望社長の冒頭発言】

 まず、お客様情報の不適切な取り扱いに関する案件について申し上げたいと思います。

 昨年12月、関西電力送配電株式会社が管理する当社以外の小売電気事業者様のお客様の情報に対して、当社が閲覧し、活用していたということが判明をいたしました。それを受け先日、電力・ガス取引監視等委員会(電取委)および個人情報保護委員会から報告徴収をいただき、これに対し報告をさせていただきました。

 小売電気事業者間の公正な競争を揺るがすもので、大変重く受け止めております。改めて深くおわびを申し上げます。引き続き、監督官庁等のご指導に真摯(しんし)に対応してまいりますとともに、本日、私を本部長とする緊急対策本部を設置いたしました。

 昨年12月からすでに調査および当面の対策に取り組んでいるところではございますが、本案件に関する体制を明確にするとともに事案の調査や原因の特定に速やかに取り組んでまいります。

 また、コンプライアンス委員会による客観的かつ徹底的な調査にも着手しており、調査等によって判明した問題点に対しましても、緊急対策本部にて改善策を具体化し、推進してまいります。

 こうした取り組みにおいては、単にルールの策定や教育等の実施にとどまらず、根底にある課題の抜本的な解決に向けた対応策についても、踏み込んで検討し、具体化推進してまいりたいと考えております。

 私自身が先頭に立って、二度とこのような事態が起こることのないよう、再発防止を徹底し、改めてコンプライアンスを重視する組織風土の醸成に、グループ一丸となって、全力で取り組んでまいる所存でございます

不祥事が続き信頼回復のための改革を進めてきた関西電力。なぜまた不正がおきたのか、記者からは質問が相次ぎました。後半では、幹部の関わりや関係者の処分についても質問が及びました。

 【記者との主なやりとり】

 ――不祥事が相次いでいる件について。先ほど社長からおわびの言葉がありましたが、4月の社長交代会見では、コンプライアンスの改革にめどがたったというご説明もあった。そうした中でこういった根本的な不祥事が起きてしまったことは、整合性がとれていないのでは。

 森社長)弊社では、金品問題以降ですね、業務改善計画を策定して、これを実行してまいりました。コンプライアンスを重視するという、この組織風土の醸成というものも、これも非常に大事な取り組みとして進めてまいりました。

 そういう中で、今回の事象が判明いたしましたことについては、本当に重く、非常に重く受けとめております。改めて深くおわびを申し上げる次第でございます。

 先ほどご説明させていただいた緊急対策本部、ここにおいてですね、調査や原因特定、改善策の実行等を進めてまいりますとともに、コンプライアンス委員会においてもですね、客観的かつ徹底的な調査というものを進めていきます。

 これらを踏まえた追加的な対策もこの本部で検討し実施していきたい。さらにはですね、我々の組織の根底にあるこの課題というものの抜本的な解決に向けた対応を具体化し、推進してまいりたいと考えております。

 繰り返しになりますけれども、本事案にかかる再発防止を徹底して改めてコンプライアンス、これを重視する組織風土の醸成に私が先頭に立って、グループ一丸となって全力を尽くしてまいりたいと考えておるところでございます。

根本的な課題「申し上げるのは尚早」

 ――森社長としては根本にある課題はどういったものだと認識していますか。

 森社長)根本的な課題、これは今後の事実確認、原因究明、こういうものを踏まえてしっかりと追究していきたいと思っているところでございます。今の時点でこれっていうものを申し上げるのは尚早じゃないかと思います。

 ――今までの記者会見では、コンプライアンスのことよりも効率性とか、そういったところを優先してしまったというお話もあったと思いますが、いかがお考えですか。

 森社長)コンプライアンスよりも業務を優先してしまう、効率化を優先してしまったということも踏まえて、業務改善計画を進めてまいったところでございます。

 業務改善計画についてはですね、ガバナンス、コンプライアンス、企業風土、こういう三つの柱で進めてまいりました。特にコンプライアンスについては、コンプライアンスを重視する組織風土の取り組みということをこれまでも行ってきたところであります。

 コンプライアンス委員会が主導的にコンプライアンス推進計画を作り、業務改善計画の進捗(しんちょく)状況も確認をいただいて、様々進めてきたところでありますが、そういう中で今回の問題が起こっているということ、これを踏まえて今後対応していくということに尽きると思います。

 ――金品受領問題の発覚以降を進めてきた一連のコンプライアンスの改革、対策というのは十分だったとお考えですか。

 森社長)これが道半ばであったということだと思います。今までも、これまでもずっと、これはやり続けなければならないということでありましたが、十分ではなかったということと認識をしております。

 ――情報閲覧は他電力でも出ているが、関電の場合、件数がずば抜けていることはもちろん、一部を営業活動に利用されており、悪質性はかなり高いのではないか。ご自身の進退も含めて関係者の処分の方針は。

 森社長)コンプライアンスの…

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