M-1を笑う 異端のコンビ「金属バット」の漫才にあるものないもの

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土井恵里奈
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 他の芸人とは違う空気をまとう。お笑いのテクニック以上に強力な武器が、「金属バット」にはある。

 日本一の漫才師を目指すM―1芸人は、共通のにおいを醸し出す。

 のし上がる必死感、敗れる悲壮感。

 人生逆転を賭けた大会だから当然だが、何千組も登場するとだんだん違いが見えにくくなる。漫才の輪郭がぼやける。みんなうまいとよけいに。

 そんな中、2人は目立つ。

あるはずのものがない

 丸刈り(小林圭輔)とロン毛(友保(ともやす)隼平(しゅんぺい))の見た目? だけじゃない。

 立ち姿も語り口も妙に落ち着いている。

 M―1出場者にあるはずの何もかもが、ない。

 焦り、力み、不安、闘志、稽古の跡……。

 そういうものを見せない。

 はやりの早口やリズムネタにも頼らず、スピードや大声で押し切ることもしない。

 流暢(りゅうちょう)な大阪弁で、さらっと一筆書きで笑わせる。

 無作為、無鉄砲、なのに王道の話芸。

 何者?

決勝進出を逃した昨年のM-1。ラストイヤーを惜しまれながら、姿を見せたのはM-1のパロディーライブで――。うそ?ほんと?絶妙な笑いの行く先は。

 そう、観客に思わせる異質さ…

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