「早くお父さんの元へ」がんステージ4の64歳、ロアッソに見た希望
長妻昭明
スタジアムはチームカラーの赤に染まっていた。昨年10月30日、熊本市東区のえがお健康スタジアム。J1昇格をかけたプレーオフ1回戦に、ロアッソ熊本の選手たちが挑んでいた。
一進一退の攻防に、ゴール裏で見ていた福田留美子さん(64)は、時に頭を抱え、手を合わせて祈った。
試合終盤にロアッソが2点を取り、1回戦を突破した。留美子さんは長男の貴之さん(36)に、「きょうは楽しかった。また行こうね」と笑いかけた。
留美子さんの体に異変が現れたのは一昨年10月。1週間ほどだるさが続き、子宮からの出血もあった。
息子2人を出産した近所の産婦人科を30年ぶりに受診し、症状を伝え、X線検査を受けた。
医師が示した写真には、子宮の周りに白い影がいくつもあった。「もしかしたらがんかもしれません」。そう告げられた。
福田さんは苦しい闘病の中、ロアッソ熊本に生きる希望を見いだしていきます。
頭髪も抜け、眉毛も
病院から出て車に乗り込み…