美術館から丸見えの部屋、「動物園のよう」 英最高裁で住民が勝訴

多鹿ちなみ
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 ロンドンで年間数十万人が訪れる美術館の展望台から自宅の室内をのぞき込まれるのは「動物園に展示されているようだ」――。英国立現代美術館テート・モダンに隣接する高級マンションの住民がプライバシー侵害を訴えた裁判で、英最高裁は1日、そう指摘して、住民側の訴えを認める判決を出した。

 英BBCなどによると、マンションはテート・モダンから30メートルほどの距離に位置し、ガラス張りの部屋。18階と19階は展望台とほぼ同じ高さにあることから、ブラインドを下げなければ中が丸見えの状況だった。

 テート・モダンは2000年、発電所を改装してオープン。16年に、ロンドン市内を見渡せる展望台を開設した。

 これに対し、13年と14年にマンションを購入していた住民計5人が、展望台の一部への立ち入り禁止や遮蔽(しゃへい)物の設置などを求めて訴えを起こした。20年の下級審では住民側が「ブラインドを下げるべき」だとして敗訴していたが、逆転勝訴した。

 最高裁判決で、判事の一人は「このような(自室がのぞき込まれる)状況が一般人にとってどれほど圧迫的なものかは想像に難くない」と指摘。美術館が展望台を設置することは「通常」の土地利用ではないことなどから、住民側の訴えを認めた。

 BBCによると、展望台は現在閉鎖されている。裁判は今後、高裁に差し戻され、対策が決められるという。(多鹿ちなみ)

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