里子の「末っ子」、1年遅れの振り袖姿 半世紀前のつらさを重ねて

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林利香
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 滋賀県守山市笠原町にある児童養護施設「守山学園」。1月29日、振り袖に身を包んだ卒園生の女性(20)が訪れた。職員や施設の子どもたちと記念撮影する女性を、そっと見守る白髪交じりの女性がいた。15年間、成長を見守ってきた里親だ。

 「あんなに泣き虫やった子が。みんなにお祝いしてもらって、スターになったみたいやね」

 里親の高田三代子(さよこ)さん(76)。女性は学園で生活しながら、5歳の時から週末や夏休み、年末年始を高田さん宅で過ごした。2歳上の姉も一緒。高田さんを取り合って、布団で川の字で寝た。夏休みにはプールや旅行に連れて行ってもらった。

 高田さんは1974年から里親となり、これまで9人の里子を迎え入れた。女性は高田さんにとって、里子の「末っ子」。子どものような、孫のような存在だ。今も盆と正月は、高田さんの実の息子2人の家族や、50代の里子家族ら総勢20人ほどが集まる。

 女性の姉は、養護施設出身の若者に晴れ着を無償提供するプロジェクトに申し込み、成人のお祝いとして振り袖を着ることができた。だが、女性の番となった昨年は、コロナ禍もあって実現しなかった。

 そんな中、今年の正月、高田さんの知人で、守山市で着付け教室を営む北村住枝さん(68)から連絡があった。「学園の子どもたちに、着付けを通して、お手伝いできませんか」

北村さんはなぜ、晴れ着の提供を申し出たのでしょうか? 里親、北村さん、児童養護施設の職員の思いを届けます。

 北村さんは8人きょうだいの…

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