楽天側への不正請求で共謀?「スキーム組んだ」 売り上げ20倍に
楽天モバイルの基地局整備事業をめぐる水増し請求問題で、下請け業者「TRAIL」(東京都港区)が東京国税局から約70億円に上る所得隠しを指摘された。楽天モバイルは、一連の不正に同社元従業員や日本ロジステック元役員、TRAIL社長の「共謀」があったと主張している。この社長自身、周囲に「スキームを組んだ」と語っていたという。
TRAILの財務諸表などによると、同社の売り上げは2019年3月期は約9億円だったが、それが翌年度以降、約26億円、約92億円と増え続け、22年3月期は3期前の20倍以上に当たる約193億円に膨らんだ。役員報酬の総額も20年3月期の約4600万円から22年3月期には約16億8千万円と急増していた。
TRAIL社長の知人男性は取材に対し、社長はある運送会社の関係者を通じて知り合った楽天モバイル元従業員から基地局整備事業で連携することを提案され、基地局の部材輸送を担うようになった、と社長本人から聞いたと証言。TRAIL社長は「スキームを組んでいる」と知人男性に明かし、「楽天モバイル側から流れてきたカネを下請けに投げ、マージンを除いた分を(楽天モバイル元従業員に)戻す」などと語ったこともあったという。
TRAILの下請け会社で働いていた別の男性によると、この会社では毎月、数千万円に及ぶ「運行アレンジメント料」を楽天モバイル元従業員の妻が代表となっている法人に支払っていた。だが、男性は「この『アレンジメント』に実体がないことは社員ならみんな知っていた」。同社はTRAILから受け取った金を元従業員側に渡す役割で、マージンも受け取っていた、と証言した。(高嶋将之、山口啓太)
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