目・鼻・足と3度のがん 全盲でおせっかいの母を失い、見つけた夢
後藤一也
抗がん剤の副作用は想像以上だった。
「食べたくない、食べ物も見たくない」
何回言っても、母のさち子さんは「少しでも栄養とって」と、ヨーグルトやゼリーを買って、病室の冷蔵庫の中に入れていた。
「なんでわかってくれないの? いらないって」
当時中学1年の遠藤未来(みく)さん(22)は、右足のかかとにできた腫瘍(しゅよう)を治療していた。
気に入っていた、太くてしっかりした髪の毛はまだらに抜けた。見た目が気になる年ごろ。自分の外見の変化も不機嫌の理由の一つだった。
「気晴らしに院内学級に行ってみたら?」
「こんなにつらいのに、なんでそんなこと言うの」
治療中、さち子さんとはけんかばかりしていた。
全盲の両親、未来さんの異変
父の眞悟さん(49)とさち子さんは目が見えない。
眞悟さんは11歳のころ、目…