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6歳の息子を小児がんでみとった 割り切れない親の気持ちに思うこと

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田渕紫織
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 小児がんでみとった6歳の長男。最後の半年間は家族4人で自宅で過ごした。その選択がよかったかどうか、葛藤もした。18年が経ったいま、母親が当時を振り返り、伝えたいことは。

急性リンパ性白血病の診断

 東京都に住む酒井正代さん(56)の長男光樹君は3歳の時、足を痛がり、頻繁に熱を出すようになった。

 検査の結果、急性リンパ性白血病という診断を受けた。その時は、「7、8割の子が治ります」という説明だった。

 しかし、1年も経たずに再発した。今度は、「五分五分です」と言われた。抗がん剤治療は過酷で、髪は抜け、免疫力が下がり、しょっちゅう肺炎になった。治療中に亡くなる子どももいる。

 片時も離れたくないので、好きで打ち込んでいた建築の仕事をためらわずに辞めた。臍帯血(さいたいけつ)移植もした。

 5歳の時、二度目の再発をした。骨髄移植のドナーが見つかったものの、抗がん剤が全く効かなくなり、主治医からはこれ以上の治療は命を縮める恐れがあると言われ、余命3カ月と告げられた。

 光樹君にはこれ以上使える薬がありませんと言われた。移植をしてもがん細胞は減らず、体が移植に耐えられないとも言われた。

「やっぱり家はいいね」

 諦めきれず、奇跡を信じる気持ちで別の病院にセカンドオピニオンを求めた。そこで出会った専門医に、「お子さんもご家族もこれだけ頑張ってきたんだから、少しお休みしてみてもいいのではないですか」と言われた。

 治療を「諦める」のではなく「休む」という言葉が心に響いた。家で遊び、ごはんを食べたい。学校にも行きたい。そんな光樹君の願いにも応えたくて、訪問看護の力を借りて、自宅に帰ることにした。

 光樹君はそれから再び保育園…

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