走る投票所、20年以上続いた「棄権」を解消 人手不足など課題も

有料記事統一地方選挙2023

佐藤瑞季
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 バスなどに投票箱を載せて有権者のもとへとひた走る――。投票率アップの効果が期待される移動投票所の利用が低迷している。導入から6年が経った昨年の参院選で利用した市区町村は、全体のわずか約5%。今年4月の統一地方選での利用も期待されるが、課題も浮かんでいる。

 5日に投開票された愛知県知事選。期日前の1月26日午後、20年以上ぶりとなる投票を終えた愛知県大府市の鈴木早苗さん(85)は、「投票できるってうれしいね」と笑顔を見せた。この日利用したのは、大型観光バスを使った移動投票所だった。

80代女性「投票できるってうれしい」

 鈴木さんの自宅から投票所の公民館までは、歩いて30分ほどかかるうえに坂が多い。かつては選挙のたびに投票していたが、年を重ね、自転車に乗ることもなくなり、「投票に行く方法がなかったんです」。

 鈴木さんが利用した移動投票所が設置されたのは、同市南西部にある診療所の駐車場。自宅から歩いて8分の距離だ。午後2時からの2時間、高齢者を中心に途切れることなく有権者が訪れていた。

 同市によると、3日間にわたって市内4カ所をめぐり、計161人が投票したという。受付係や投票立会人などは、市選挙管理委員会と協定を結ぶ至学館大学(同市)の学生らが担い、かかった費用はバスのレンタル代など約40万円だった。

 同市選挙管理委員会は4カ所のうち2カ所でアンケートを実施。回答者63人のうち11人が「移動投票所がなければ、投票していなかった」とし、62人が「今後もやってほしい」と答えた。担当者は「地域のニーズはとても高い。移動手段の問題で、投票したくてもできない人の助けになれば」と話す。

広がらない理由は…

 総務省によると、移動投票所…

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