新しい「歴史総合」求められる力は 教科書執筆者の授業をのぞいた

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鈴木裕
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 多くの高校1年生が今年度から学び始めた「歴史総合」。日本史、世界史の枠を超え、主に18世紀以降の近現代史を学ぶ新科目だ。

 暗記重視の印象もある歴史の授業は変わるのか。この科目の実践研究に取り組み、教科書執筆者でもある愛知県立大府高校の野々山新教諭に聞いた。

世界と日本の「つながり」重視

 ――どんな科目ですか。

 近現代の世界の出来事に、日本がどう関わり、どんな影響を受けたのかを、世界と日本の双方向から見て、私たちの社会にどのようにつながっているのかを考える科目です。国際化・グローバル化が進み、世界と日本が密接に関わるようになった時代に対応しています。

 ――どんな授業をするのでしょう。

 私が2学期に授業をした単元「戦争って、いけないものじゃなかったの!?」は、第1次世界大戦から戦間期、第2次世界大戦、ロシアによるウクライナ侵攻まで、約100年間の歴史を考察しました。

 第1次世界大戦の反省から、戦争を起こさないための条約や国際連盟のような組織がつくられたのに、第2次世界大戦が起きた。その教訓から平和を守る大切さを学んだはずだったのに、ウクライナ侵攻が起きている。私たちが未来の戦争を防ぐために必要な考え方や態度について、「自分事(わがこと)」として生徒と一緒に考えました。戦前、戦後などと時代で区分するのではなく、戦争というテーマを軸に授業を展開しました。

 また、1学期の単元「工業化の進展は私たちの生活を豊かにしたんじゃなかったの!?」は、約200年前に英国で始まった産業革命が私たちにどうかかわっているのかと、格差問題がテーマでした。工業化によって生活は豊かになったのかという問いから出発し、自由貿易や植民地支配、日本の産業革命を学びました。

 今、日本人の7人に1人が「相対的貧困」の状態だとされていますが、貧困の歴史的要因と解決策を探りました。

答えがないものと向き合って

 ――どんな力を付けることが求められますか。

 歴史は、知識偏重の暗記科目という印象が強かったと思います。

 でも、「歴史総合」が求めて…

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    星野典久
    (朝日新聞名古屋報道センター次長=政治)
    2023年2月6日15時9分 投稿
    【視点】

    この記事を読んで「歴史総合」の授業を受けてみたいと思いました。 歴史は探求すればするほど、現代を生きる大きな指針になると思います。特に近現代史を学べば、今の日本や世界の立ち位置を知ることができます。また「フランス革命」や「大正デモクラシー