収入減や言葉の壁、進学や通院を諦める 千葉大など在日外国人に調査

伊藤繭莉
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 千葉大やNPO法人などのチームが千葉県内で子育て中のアフガニスタン人とスリランカ人の教育や福祉の現状を調査した。新型コロナウイルスの影響で進学を諦めたり、言葉が通じず病院に行くのを我慢したりする実態が明らかになった。

 チームは千葉大の研究会「移民難民スタディーズ」やNPO法人「多文化フリースクールちば」のメンバーが中心。在日アフガニスタン人とスリランカ人が多い四街道市山武市佐倉市など11自治体で、アンケートと聞き取りをした。期間は2021年8月~22年3月で、有効回答は117人だった。

 調査結果によると、コロナ禍で「収入が減った」と答えた人のうち、約1割が「子どもたちの高校や大学、専門学校への進学を諦めた」と答えた。感染拡大による学校の休校で日本語を使う機会が減り、子どもの学習に支障が出たというケースもあった。

 子育てでの心配事を尋ねると、「友達からヒジャブ(髪を隠す布)をからかわれる」「宗教上、学校での性的な会話やボディータッチを嫌がっている」などの声が上がった。学校に行っていない6~15歳がいることも判明し、のべ5人が「学校に行くための手続きがわからない」「子どもが日本語を話せない」の選択肢を選んだ。

 医療面では、「健康でない」と答えた人の37%が病院に行っていなかった。同居している家族も43%が「過去1年間に病院に行きたくても行けなかった」と答えた。理由として、「病院で言葉が通じないと思った」が44%、「健康保険証がなかった」が24%だった。(伊藤繭莉)

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 小川玲子・千葉大院教授(移民研究)の話 外国人の定着を支援する政策が足りない。個人の問題として放置せず、制度の壁を取り払う必要がある。欧米では外国人が無料で語学教育を受けられる国もあるが、日本はボランティア頼みになっている。

 アフガニスタンではタリバンによる政変、スリランカは経済危機が起き、新規の来日が続いている。移民コミュニティーの教育と福祉について、今後も行政やNPO、学校、法曹関係者の連携が求められている。

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