「電通と一緒に受注調整した」 組織委元次長、五輪談合を認める供述
東京五輪・パラリンピックをめぐる談合事件で、大会組織委員会の元次長が東京地検特捜部の2日の任意聴取に対し、談合の認識を一転して認める供述をしたことが、関係者への取材でわかった。特捜部は、元次長と広告最大手「電通」側が受注調整を主導したとみて独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで捜査。電通側が最近になって談合を認める方針転換をしたことが、元次長の対応に影響を与えたとみられる。
組織委は2018年、各競技の進行を確認するテスト大会について、実施計画を立案する業務を発注した。1~2の会場ごとに26件の競争入札を行い、電通など9社と1共同企業体が落札した。契約額は計約5億4千万円だった。
関係者によると、組織委でテスト大会を担当した大会運営局の元次長と電通側は入札の前、各社の受注意向や過去の実績を調べたうえで、受注候補をまとめた一覧表を作成していた。落札結果はほぼ一覧表の通りになり、大半は1社しか参加しなかったという。
電通側の方針転換、影響か
特捜部の任意聴取を受けている元次長は当初、一覧表について「全会場で穴が開かないよう、少なくともこの社には参加してほしいという意味で作った」とし、「他の社の参加を阻む趣旨はなかった」と違法性を否定していた。
電通側の担当者らも当初は同様の供述をしていたが、1月下旬になって談合にあたるという認識まで認める供述に変わった。電通側の方針転換を知った元次長は2日、「五輪を成功させるために電通と一緒に受注調整した」「業者は表の通りに入札すると思っていた」と供述し、自らも談合の認識を認めたという。
この事件では、組織委側が作成した複数の資料に、テスト大会の企画立案業務を落札した企業が原則として本大会の業務まで受注すると記載されていたことが判明している。実際に、落札した9社・1共同企業体は全て、そのまま本大会運営などの業務を入札を伴わない随意契約で受注。随意契約の総額は約400億円で、特捜部は入札分と一体とみて随意契約分も立件する方向で検討している。
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