高校生29人が人工衛星を開発 得意分野生かし連携、来夏打ち上げへ

松永佳伸
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 岐阜県内の工業高校4校の生徒たちが中心となり、小型人工衛星の開発を進めている。「ぎふハイスクールサット(GHS)」と名付けたプロジェクトで、打ち上げの目標は来年夏。試作機の製作を重ね、宇宙からの画像データの送信などのミッション成功に向け、意気込んでいる。

 県が、岐阜大学などと協同して2021年度に立ち上げた「ぎふ宇宙プロジェクト研究会」の人材育成の取り組みの一環。昨年4月、大垣工、岐南工、岐阜工、可児工の4高校から29人が参加し、岐阜大と連携した人工衛星の開発がスタートした。

 4校の得意分野を生かし、それぞれ電力、無線通信、構造・筐体(きょうたい)、制御・ミッションを分担。岐阜大の教授や学生からの助言や、県内の航空宇宙関連企業の協力も得て、週1回のウェブミーティングを重ねながら、プロジェクトを進めている。

 小型人工衛星の大きさは縦横10センチ、高さ20センチで、重さは2・66キロ以下。コンピューター、カメラ、太陽電池パネル、バッテリー、温度や電圧などの各種センサーを搭載する。

 宇宙で取り組むミッションは二つ。一つはカメラで地球を撮影し、画像データを送信する。もう一つはアマチュア無線を使って、音声メッセージを岐阜から衛星を経由して送信する。世界の人たちに声が届けば、新たな国際交流にもつながると期待する。

 打ち上げには、振動や熱への耐久性や、排出ガス宇宙空間を汚染しないかなどの環境試験をクリアする必要がある。そのチェックのための試作機もすでに3号機となった。今年末までにフライトモデルとなる実機の完成を目指している。

 打ち上げは米国で来年夏ごろを予定している。ロケットに搭載して国際宇宙ステーションまで運び、宇宙へ。高度約380~420キロの軌道上を1周約90分かけて地球を周回する。重力によって徐々に高度を下げ、約1年後に大気圏に突入して燃え尽きるという。

 4校の生徒の代表らは1月19日、県庁を訪れ、古田肇知事にこれまでの経過などを報告した。

 制御・ミッションを担当する可児工電気システム科の船瀬天雅さん(3年)は「データや動画の伝送の仕方を学び、適切なプログラムを作り上げたい。責任をもって後輩にバトンタッチした」。構造・筐体担当の岐阜工航空機械工学科の武仲琢磨さん(3年)は「各校の進み具合がつかめず不安なこともあるが、航空宇宙産業の発展に貢献できるように頑張りたい」と話した。(松永佳伸)

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