渡米して気づいた「自分はあてにならない」 そこから見えてくる世界
世の中、どんなに力を尽くしても、自分の力ではどうしようもないことがあります。老いや病気、愛する人の突然の死……。そんなとき、どうやって気持ちに折り合いをつけていますか。何を頼りますか。心の支えは何でしょうか。僧侶の英月さんに聞きました。
頼れるものはない
身もふたもないことを言ってしまいますが、頼れるものはないと思います。
健康を頼りにしている人は、健康でなくなれば頼るものがなくなります。お金をあてにしている人は、お金がなくなれば支えがなくなります。家族がよりどころの人は、いつか夫や妻は亡くなり、子どもは自立し、最後は一人になります。
あてにしているものは、すべて行き詰まります。
仏教学者の安田理深(りじん)に「本当のものがわからないと本当でないものを本当にする」という言葉があります。支えだと思っていることも、実は仮のものであるのに、本当だと思っているわけです。
私の場合、大行寺で生まれ、都市銀行に勤めました。たくさんお見合いをさせられ、耳が聞こえなくなり、精神的に行き詰まりました。
このまま日本にいたらあかんと思い、アメリカに渡りました。友だちもいないし、お金もない。そもそも英語を話せない。
落ちたところにも道はある
日本では、いい会社で働いて…
- 【視点】
性別年代問わず、現代人が抱える最大の病理は「寂しさ」であろうと私は考えています。 「寂しさ」には色々な原因があります。その代表的なものの1つは、周りや過去と今の自分を比較して、有用感のなさを感じてしまうことでしょう。 「量る」は、こ