負けてもなお、2人の表情は明るかった。
昨年12月のフィギュアスケート全日本選手権。5連覇をめざす小松原美里、尊組(倉敷ク)が、着実に成長を続ける村元哉中、高橋大輔組(関大ク)を相手に日本一の座を守り続けられるか――。
それが、アイスダンスの焦点だった。
結果、小松原組は敗れた。準優勝。リズムダンス(RD)、フリーとも村元、高橋組に上回られた。昨年11月のNHK杯からフリーの後半部分を修正して臨んだが、及ばなかった。
「悔しいですけど、楽しかった」
演技を終えた美里は、最初にそう話した。尊が続く。
「勝負はスポーツの中で一番大事だと思う。けど気持ち的には良い演技ができたし、楽しかった」
フリーに進めなかった昨年の北京五輪を経て、練習により厳しく向き合うようになったという2人。美里は「チャレンジのシーズンで、最初の試合からどんどん良くなっている」。
グランプリ(GP)シリーズのスケートカナダは7位、NHK杯は9位と、結果にはなかなか表れていないが、2人は常に前を向いたコメントを残してきた。
だが今季、美里が声を詰まらせた場面があった。
“小学生のカップルに話を聞…

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