第5回「ダメ」と言われた守備は今 源田壮亮の才能を開花させた一冬の経験

有料記事埼玉西武ライオンズ

山口史朗 藤田絢子
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 ずば抜けてうまい――。

 トヨタ自動車で内野守備のコーチをしていた乗田貴士さん(39)は、愛知学院大の遊撃手を見て、監督に直訴した。

 「絶対に、取りにいきたいです」

 2014年のことだ。コーチになってから、選手を獲得したいと自分から主張したのは初めてだった。

 「動きがきれいで無駄がない。アウトにする確率が高いと思った」

 乗田さん自身、京都・平安高(現・龍谷大平安高)、佛教大、トヨタ自動車とその守備力で生き抜いてきた。

 前年に選手を引退し、コーチになったばかりで出会った「金の卵」だった。

 翌15年、その選手はトヨタ自動車に入社してきた。が、いざ社会人の中に入るとたいして目立たなかった。

 「意外と癖が多くて、ミスが多い。安定感がなかった」

 乗田さんが感じた欠点は複数あった。

 股関節が硬く、打球に追いついているのに腰を落としきれず、グラブの下を通過させてしまう。

 打球に対してグラブの捕球面を向けるのが遅く、ミスしやすい。

 送球の際のリリースポイントが体に近すぎて、シュート回転してしまう。

 そして何より、「本気を感じ…

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    中川文如
    (スポーツ部次長)
    2023年2月6日8時9分 投稿
    【視点】

    WBCの侍ジャパンでショートを担う源田選手の分岐点を描いたストーリーです。恩師の乗田さんに対するこの言葉を、我が身に置き換えて考えてしまいました。 「乗田さんは自分の守備に関してダメなところとか、技術的なところとか、初めてちゃんと『ダ

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